パリだけがフランスではありません

第37回
親子2世帯「同居」はあり得るか

友人が送ってきてくれた荷物の中に、
パッキン代わりに今年の1月5日付の新聞が入っていました。
日本語の活字に飢えがちな私は、隅から隅まで目を通しました。
そこに「近居」という言葉を見つけたのです。
『長谷工アーベストが03年に団塊とその子世代を調べたところ、
親子とも約8割が、行き来しやすい所に住むことを望んだ』
とありました。
さらに
『うち同居希望は1割程度で、
30分以内の近居が親子とも約6割を占めた』
と続いていました。

前回、義理の両親にも私たちにも最初から
「同居」の発想はないと書きましたが、
いろいろ見回してみても
そういう生活形態を取っているフランス人はあまりいません。
その反面、「近居」はとても多い気がします。
ようするに「スープの冷めない距離」の拡大版でしょうか。

たとえばお隣りの御夫婦は60代後半。
4人の子供のうち2人がレンヌRennes近郊に住んでいます。
レンヌとの距離は100km、車で約1時間です。
日本の「30分以内」よりは遠いですが、
フランスでは「近居」になると思います。
その1組はパリ近郊でのアパート暮らしを、
子供が2人になったのをきっかけに
レンヌへの引越しを選択しました。
ただパリからレンヌに仕事を変えるのに1年近くかかったそうです。
今は家を買い、月に2度ほどこちらにやって来ます。

息子の友達の多くは祖父母が近くに住んでおり、
親たちは時折学校の送迎を頼んだりしています。

ただ親子世帯が近所に住んでいても
けして全面的に依存はしていません。
手が足りない時は互いに助け合いますが、日常的ではありません。
子供の面倒に関していうなら、まず行政を頼るのが普通です。
親子といえどもそれぞれに独立した関係、
ある一定の距離を置いた付き合い方になっているように見えます。

息子の友達の祖父母が我が家の斜め前に住んでいますが、
マダム・ルソーは
もう12年も一人になってしまったお母さんを見ています。
お母さんは今年96歳。
隣り合わせの家ですが、今は中を繋げて住んでいます。

フランスでもカップルの一方だけになった時、
初めて子供家族と
「同居」に近い形態を模索する人達がいるのは確かです。
義理の両親も、どちらか一方になったらどうしよう、
と考えることがあると言っていました。


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2005年4月11日(月)

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