第32回
いろいろなフランス人
もう15年以上も前の話になりますが、
アジア人に間違いない旅行者の私に
パリで道を聞いたフランス人がいました。
本当に驚きましたが、よくよく観察して見れば、
すでにその頃でも
パリで暮らすアジア系の人はとても大勢いたのです。
特にベトナムはかつてフランスの植民地でした。
ベトナム生まれでフランス国籍を持つ人は少なくありません。
たとえばそう言う人に間違えられたと思えば納得がいきます。
東京も今は随分いろいろな国の人が住んでいる
インターナショナルな大都会。
でも、外観からして日本人と思えない人に道を聞くでしょうか。
それほど「日本人」の概念は広くないように思います。
ところがフランスの場合、
「フランス人」は「フランス国籍を有する人」とも言えるわけです。
国際結婚は当たり前。
先のベトナムではありませんが、
かつての植民地との繋がりから現在に至る海外領土圏の住民も含め、
様々な人が「フランス人」でもあります。
さらに政治難民に対しても比較的寛容に受け入れてきました。
だから一口に「フランス人」と言っても日本人ほど一様ではなく、
千差万別。
特にまとめて身体的特徴を言うのは難しいわけです。
以前TF1で
夕方6時頃から流れていた視聴者参加型の人気番組がありました。
かなりバカバカしいゲームをして
ある点数をクリアーすると
カーテンで隠された賞品がもらえました。
取るに足らない品物も多々あるのですが、
何といっても目玉が新車だったので人気があったのだと思います。
司会者は出場者に向かってしばしば
「あなたのオリジンは?」と聞いていました。
あえて日本語に訳すと
「あなたの、あるいはあなたの親の生まれはどこ?」
という感じでしょうか。
また時には
「あなたのおばあちゃんやおじいちゃんの故郷はどこ?」
とも言えるでしょう。
身近に「私のおばあさんはイタリア人だった」とか
「僕の両親はアルジェリアから来た」
とかが普通の国ならではの質問かもしれません。
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