第31回
「ダブリ」も「飛び級」も当たり前
日本では新学期が始まりますね。
フランスは9月が始まりですが、
日本とフランスの小学校で違うのはそれだけではありません。
小学校によって表現の仕方は少し違いますが、
絶対評価になっています。
AからDとアルファベットの所もあれば、
色(緑、オレンジ、赤。赤は赤点に通じるからおもしろいです)の
所もあります。
その意味は「完全に理解している」「ほぼ理解している」
「理解し始めたばかり」「理解できていない」といった具合です。
この「完全に理解している」がどの項目にもついている子は、
たいてい1年飛ばして進級します。
反対に「理解できていない」項目が多い子供は、
親に相談が持ちかけられます。
相談とはもう一度同じ学年で勉強したほうが良いという事です。
「落第」と表現すると身も蓋もないのですが、
ここではそれほど決定的マイナスイメージはありません。
「飛び級」も「ダブリ」も当たり前の出来事だからです。
わかっている子は同じ事を繰り返すより先に行かせたほうが良い。
わかっていない子をそのまま進ませるより
もう一度繰り返しさせたほうが良い。
こうした合意が徹底しているようです。
また日本では学校の行事に生徒が参加するのは当然ですよね。
何らかの理由で参加できない場合、
親は「すみませんが…」と学校に断りを入れるでしょう。
ここだと、たとえば幼稚園や小学校で遠足があるとします。
まず日時と内容の案内が来ると同時に出席させるかさせないか、
親の了解を求める一文がつきます。
最初に息子の連絡帳を見てこの事に気付き驚きました。
日本的な考えで、病気以外の理由で
学校行事に参加させない親がいるとは想像していなかったからです。
しかしここでは「日本人」という枠ほど
「フランス人」の枠は一律でありません。
多種多様の文化や宗教を持つ人々が多いからかもしれないと、
しばらく生活した後に思い至りました。
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