パリだけがフランスではありません

第22回
「ココリコcocoriquo」のフランス人

オリヴィエは毎週水曜日の昼食を、
父親と一緒にヴァンヌのレストランでします。
夜、帰ってくるとしばしば自分の父親との食事の様子を
「今日も父さんはココリコ、ココリコで疲れたよ」と言います。
またフランスの政治や外交が話題になる時、
自分もフランス人なのに
「フランス人はココリコだからね」と評したりします。

「ココリコ」という言葉を最初に聞いた時、
いったいなんの意味だかわかりませんでした。
実はフランス語でいう雄鶏の時の声で、
日本語でいえば「コケコッコー」。 
でも、なぜフランス人が「ココリコ」なのでしょう。

答えは仏和辞典を引いてもらえばわかります。
ただ鳴き声でなく、
その声の持ち主である雄鶏、コックcoqを調べてください。
この単語を使った言い回しのなかにその答えがあるからです。

「ガリアの鶏le coq gaulois」(ガリアは古いフランス発祥の地)は
フランスを象徴するシンボルの一つです。
たとえばフランス代表のサッカー選手のユニホーム。
国旗のトリコロールカラーと共に
トサカを立てた鶏のマークが必ず入っています。
でも単純に雄鶏といった場合、
「気位が高い」「威張っている」「空威張り」
といった表現に使われるのです。
「猛然と戦う」というのもありますが、あまりパッとしませんよね。
でも彼らは少々自嘲的なのですが、こうした面を認めています。
これで良いとすら思っている節もあるほど。
そうでなければ「ガリア」と特定していますが、
なぜ雄鶏をシンボルマークに採用しているのか説明がつきません。

彼のお父さんは一代で会社を起こした経営者でした。
大企業ではありませんが、300人ぐらいの社員がいたそうです。
息子たちに言わせれば、
83歳の今もすべてその頃と変わっていないから
「ココリコ」というわけです。

イラク戦争に突入する前、フランスは猛然と戦争反対を唱えました。
ある意味、これも「ココリコ」の面目躍如といった風です。
お蔭でパリのアメリカ人観光客は激減し、
アメリカ向け輸出もワインを始め
いろいろな物品がボイコットで大きくへこむことになりました。
でも、そのことでシラク大統領への文句は出ませんでした。

オリヴィエいわく
「たとえ自分の足が泥沼に浸かっていても、
平気な顔でココリコ、ココリコとやるのがフランスだから」と。
確かにそんな面もあるようです。
それにしてもアメリカ合衆国の白頭鷲のイメージとは
随分趣が違いますよね。


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2005年3月7日(月)

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