パリだけがフランスではありません

第19回
食器一揃いは5客か6客か

夏のある日曜日、
オリヴィエが比較的近いところで開かれる
ブロコントに出店することになりました。
息子も私も遠足気分で同行することにしました。

ちょうど良い機会だったので、
そこで日本から持って来た
未使用の食器類なども売ってみようという話になりました。

当日、オリヴィエのようなプロのお宝捜し人は早朝7時過ぎ、
ほとんど出店と同時にあちこちを見て回りますが、
一般、つまり私のようにお遊びで店を見る人達は
10時をまわった頃からやって来ます。

そのうちなかなかお洒落な50代とおぼしき女性が、
日本製のガラスのデザート皿セットに興味を示しました。
箱から出していろいろ眺め、
横の御主人とおぼしき男性と言葉を交わした後
「これ、おいくら?」と質問してきました。
オリヴィエが私をつついたので、
かねてから予定していた値段を伝えると
「でも、これらは5客しかないでしょう。
1客足りないわけだから安くならない?」と言われたのです。

足りない?
引き出物かなにかでいただいた物。
ずっと箱に入れっぱなしでしまい込まれていた新品です。
「いいえ、足りないわけはありません。
日本では5客が普通ですから」と続けると、
「あら、そう。でもフランスでは6客からよ。
5客じゃお客様を呼んだとき足りないわ。
だから安くならないかしら」

そうなのです。
フランスでの招待客はカップルが基本なので、
一揃いの食器最低限の数は偶数でなければ困るのでした。
6客の次は12、それから18、24と増やしていくわけです。
つまり半ダースが基本の数になります。
さらに主人の記憶では、
60年代ぐらいまでは大家族が多かったせいか、
食器の最低単位は12客からだったといっていました。

ところ、いや国が違えば一般常識も変わる?
フランスだから「1客足りない」という
お客さんの申し出は正当なので、
結局値引きをして買ってもらいました。


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2005年2月28日(月)

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