パリだけがフランスではありません

第15回
家のリフォームは未完成(2)

フランスでの1年目、
オリヴィエの時間は
家の改装と仕事探しに費やすつもりで計画していました。
改装を前提として買った家でしたが、
実際に住み始めて作業を検討してみると、
最大の工事が1階のキッチンとサロンの壁をぶち抜くことと
3階の屋根裏部屋に
普通の階段(開閉式の簡易なものだったから)を
設置することでした。

壁は15pもある厚いもので、機械がなければ壊せないし、
瓦礫をどうやってどこへ捨てるのか。
階段作りも素人には無理だし、
階段が到達する床にスペースを空けなければなりません。
その床は壁より厚いコンクリートでした。

結局キッチンの水回りの鉛管工事をするプロンビエplombier。
壁を取り払う専門家マッソンmacon。
階段を作る木工職人メニュイジエmenuisier。
そして壁などの仕上げをする左官屋みたいなプラトリエplatrier。
以上は専門家に依頼しなければなりませんでした。

これが難問だったのです。
まず良い職人はいつも仕事が詰っています。
やっと連絡が取れてホッとしたのも束の間、
実際見積もりに来てもらうまでにやたらと時間がかかり、
その見積もりは待てど暮らせど出てこない。
もし催促せずに待ったら多分忘れられてしまうでしょう。
ようやく見積もりで折り合いが付き頼むわけです。
でも、今度は実際の作業は2ヵ月先です、なんてざら。
1人の専門家にこれだけの時間がかかるうえ、
作業を一気には始められません。
これが終ったら次、次…
そのたびに以上の手順が繰り返されるわけですから、
けして思い通りにことは運びません。

幸いにも我が夫はまれに見る器用な人で、
大方の大工仕事からタイル張り、
キッチンの建具まで自分でやってのけました。
そうしていつも工事中の家がなんとか落ちついたのが1年半後。
あとは資金と彼の時間の問題で
少しずつ手を入れつつ5年目に突入したというわけです。
完全主義の日本人には納得しがたいと思いますが、
ここまで来ると
「いつか完成」を思い描いて時間を過ごすのも悪くないですよ。


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2005年2月18日(金)

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