第5回
自分たちを「ブルトン」と呼ぶ人たち
ブルターニュ、と聞いて
フランスのどこだかピンと来る人はかなりなフランス通ですね。
ちょっと語呂が似ている
ワインで有名な「ブルゴーニュ地方」と混同したり、
見当もつかない人がほとんどではないですか。
ブルターニュはフランス西北に位置し、
大西洋に面しています。
行政的なブルターニュ地域圏(フランス語ではレジョンregion)は
4つの県でできていますが、
文化的に見た場合、隣りの地域圏に含まれるナントを中心とした
ロワール・アトランティックLoire-Atlantique県も入ります。
この文化的なブルターニュ地方に住む人々を称して
ブルターニュ人、ブルトンBretonと言います。
人々はフランス語ではなく、
ブルターニュ独特の言語ブルトンbretonを使っていました
(今も北部では健在です)。
ブルターニュ人気質をあえて一言で表すと、
フランス一頑固で偏屈。
南フランスの開けっぴろげでおしゃべりな気質とは正反対の
無口で気難しい、暗いとさえ言える気質です。
ただその反面、一般的に明るいお調子者の南フランスの人と違って、
心を通わせるのに時間はかかっても、
真面目で誠実なやさしさを持ち合わせていると言います。
第二次世界大戦末期、
イギリスに亡命していたド・ゴール将軍の呼びかけに答え、
彼のもとに多く駆けつけたのはブルターニュの人々でした。
フィニステール県南部のサン島ile-de-Seinでは、
男性が一人残らず船でイギリスに渡った後、
フランス解放のために戦ったそうです。
またフランス革命時は
最後までフランス国王に忠誠を尽くしたと伝えられています。
今でも伝統的にカトリックを信じている人が多いのも
この地方の特徴かもしれません。
かつてフランス一貧しかった地方ですが、
70年代を境に変わりました。
パリに続く高速道路や地方内の道路整備など
政府の重点的な援助(だからここの道路はすべて無料)が
あったといいます。
こうした話は、
典型的ブルターニュの
フィニステール県ブレスト生まれの義母から聞いたものです。
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