パリだけがフランスではありません

第3回
適度に田舎で適度に都会なセネ

南ブルターニュのヴァンヌ近郊に引越したと、
東京の友人がフランスを良く知る友人に伝えました。
「なんだ、パリじゃないの。
また、どうしてそんな辺鄙なところに住む事にしたの」
という反応だったそうです。

最初は私たちもここをかなりな田舎だと思っていました。
我が家の周りには牧場あり、耕地あり、林あり。
ヴァンヌの町に行く途中でさえ、馬や牛が放牧されていたり、
実にのどかな光景が身近にあるからです。

春先の早朝は、鳥たちがうるさいほど囀ります。
冬、干潮時に出現する広大な干潟は
シベリアからやって来た鴨たちで賑わいます。
特に東京育ちには典型的な田舎風景として写りました。

ところがしばらくここで暮らしてみると、
実は「辺鄙」でも「田舎」でもない
セネ(住んでいる地域の名)というコミューンの
実態が見えてきました。

コミューンは、日本語で言えば多分「市町村」かな。
まとめたのは、コミューンの人口に数百人から数万人と
大きな幅があるからです。
セネの人口は8000人ほど。
フランスでは大きいコミューンだと聞かされました。

改めて見直すと、宅地開発には大きな規制がありました。
景観保護のため海辺から10km以内に新しい家は建てられないとか、
海岸線のほとんどは鳥類保護区だったり。
だから我が家の周りはもちろん、
周辺で野趣に溢れた散歩が楽しめるのだとわかりました。

その一方で、ヴァンヌはまあまあの小都会です。
ヴァンヌ郊外、セネの中にも商業地区があり、
大型スーパーや各種大型店があります。
セネのどこからも車で20分も行けば
生活に必要な要素がすべて得られるわけです。

中都市、ナントやレンヌへはどちらも車で1時間ほどの距離。
ナントには国際空港もあります。
ヴァンヌはパリからのTGVが止まり、所要時間は3時間ほど。
セネは適度に田舎で、
適度に都会的便利さも得られるところだったのです。
それがここの暮らしをことさら気に入っている理由かもしれません。


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2005年1月21日(金)

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