第2回
南ブルターニュを選んだ理由
私たちが住んでいるのは
日本人には比較的馴染みの薄いフランス北西、
大西洋に面した
ブルターニュ地方(中心都市はレンヌRennes)の南部です。
我が家は海辺に歩いて1分のところにあります。
フランスでも「海のそばでなければ絶対に嫌だ」と
主人が言ったからです。
といってもフランスの海に面した地方はここだけではありません。
有名なコートダジュールを含む地中海沿岸部。
広い海岸線が広がる北部のノルマンディー。
大西洋沿岸も北からずっと南、
アルカッション(ボルドー近郊)から
さらにスペイン国境まで海岸線は続いています。
消去法で考えたら、南フランスは人も多いし高嶺の花でした。
北はあまりに冬が辛そうでした。
スペイン国境近くはパリとの距離があり過ぎました。
つまり移動手段が限られるうえ、
時間がかかったのです。
ライアテア島から急遽家探しにフランスを訪れた私たちは、
義理の母の出身地であり、
まだ穴場と思えたブルターニュなら
手持ちの予算でなんとか海に近い家が探せるかと期待しました。
1週間かけて北から南のナントに近い辺りまで、
車で沿岸部を見て回りました。
季節はシーズン・オフの12月。
広い砂浜が続く素敵な所はみな
ゴースト・タウンのように静まり返っていました。
そんな中で生活感に満ちていたのが南ブルターニュ、
モルビアン湾に面した小都市ヴァンヌVannesだったのです。
一度リヨンの彼の実家に戻り、
ヴァンヌの不動産屋数軒と具体的にアポイントを取って
年明けと共に実際の家探しに出ました。
こうして運よく今の家に出会ったのです。
「決めてきた」と両親に報告した時、
彼らは呆気に取られていました。
多分私たちの素早い決断は、
たとえフランスでも一般的でなかったからでしょう。
実は本人達もこんな短期間に
予算と条件に合う物件を見つけられるか、
まったく自信はありませんでした。
もしなかったら?
もう一度同じ事をするには時間とお金がかかり過ぎ、
すぐに出直せない事だけは確かでした。
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