一、最初のお客は佐藤春夫と檀一雄 邱飯店というと、中華料理屋の名前を連想されるかも知れないが、実は私の家の料理のことである。 私は食べることが好きで、料理に興味をもっており、「千里の道を遠しとせず」して、うまい料理を食べに行くばかりでなく、それをできれば我が家の食卓で再現しようする。また料理屋の料理だけが料理であるとは思っていないから、ふだん食べるものに気をつけており、少しでもおいしいものを、食卓に出してもらうように努力している。さらにまた、自分の家の食事は人に負けないという自身をもっているので、生来の客好きということも手伝って、友達を自分の家へ招待する。そのなかには、日本国中でこれはと思われる文人墨客や実業家たちもたくさん含まれているので、いつしか、
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