産地では、この時期でも日中の気温は30度近くありますが、
カラットしているので、非常に気持ちの良い天気が続きます。
それでも朝方は10度以下まで下がりますので、
結構肌寒く感じます。
そしてこの日中の気温差が、コーヒーの実をじっくり熟成させ、
品質の良いコーヒーを育ててくれます。
気温の低くなってきたこの時期あたりから(特に年末あたりから)、
タイ族の村ではブタ捌きが盛んに行われるようになります。
この時期の早朝に村に行くと、彼方此方からブタの悲鳴が聞こえてくるので、
気持ちが悪くなります。
気温が下がってきたので腐りにくい、というのが大きな理由のようですが、
元旦、旧正月と、彼らにとっても何となく宴会のきっかけにしやすい時期が続くので、
豚を捌いた日には“殺猪菜”というブタ料理のフルコースで、
親戚や仲の良い人を呼んでお食事会を開きます。
やはり僕もあちこちから声をかけられるのですが、
断るのに結構疲れてしまいます。
別に僕が人気者だとかいうことではなく、
普通に挨拶程度のものだと思うのですが、
しつこい挨拶だから、少しやっかいなだけなのです。
この食事会で僕がもっとも恐怖なのは、
白酒はもちろんなのですが、ブタの生肉がでることです。
ブタの生肉の叩きを、パパイヤ等を刻んだ野菜と一緒に、
唐辛子や塩などをたっぷり入れてごちゃ混ぜにします。
最初のころは僕も興味本位で口にしましたが、
唐辛子の味しかせず、生肉の食感がネチョっとして気持ち悪いので、
興味もなくなりました。
彼らがいくら気温が低くなったから大丈夫、と言っても、
細菌のつきやすいブタの生肉を、美味しくもないのに
喜んで食べるほど、僕は人が良くありません。
今では何度進められても絶対に口にしないのですが、
どうして彼らは、人が本気で嫌がっているのも気にもせず、
屈託のない笑顔でしつこく進めてくるのか、
どうにもこうにも分かり合うことができないなあ、
と思う、新年のブタ宴会でした。
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