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43.物価高と駆け引きの境目

中国では物価の高騰が著しくなってきましたが、
ここ雲南のコーヒー産地でもその流れを避けることはできません。

石油の値上がりも顕著で、
市内のガソリンスタンドでは、行列が日常化してきました。
産地山奥の小さなガソリンスタンドでは、すぐに供給不足となり、
店主が勝手に値段を吊り上げて売っています。

人件費について、
まだまだ都市部に比べれば格段に安いのですが、
コーヒーチェリーの収穫作業賃でも、昨年比で30%以上のUP。
場合によっては、50%以上でないと断る人も続出し、
人集めに走り回るようになりました。

人件費の高騰の理由は、物価上昇はもちろんですが、
この山奥でも現在、高速道路や電力所の建設、地域開発等により、
労働者は引く手あまたで、
さらにコーヒーやサトウキビの収穫でも、
農場同士で近隣の農民の奪い合いになります。

特に土木関係の肉体労働は、比較的賃金が高く、
さらには一部地主等が周辺相場よりも良い条件で人を掻き集めたりするため、
収穫や加工などの日雇いスタッフに、
「賃金が安い」とブーブー文句を言われる羽目になります。

僕たちは日ごろから、あちこちの農地を調べていますが、
僕が目をつけていた近くの農地を、
邱公館農場の約5倍の金額でタバコ会社が契約してしまいました。
何が植えてあるか、水の有無、交通の便等々で取引条件は全く異なりますが、
それでもこの約2年で土地相場が全体的に2~3倍上がった感じがします。

相場を急激に吊り上げないように、僕たちが地道に抵抗しても、
金払いの良い小老板や企業が、あっけなく応じてしまうため、
「そんな高い金額、誰が払うのさ。」
という僕が以前良く使っていた決まり文句も、
今では、負け犬の遠吠えのように響いてしまいます。

作業スタッフにしても、
こちらの要求通りに、もしくはそれ以上にきちんとやってくれれば、
内容に見合った賃金を支払うのは当然ですし、
僕は何でもかんでも極端に値切ろうとは思っていません。
しかし、あまりにも変化が早いので、
適正な条件と駆け引きの境目がよく分からなくなってきます。

これからますます上がり続けるであろう、賃金と物価。
僕たちもかなり気合を入れて、この問題に対処していく必要性を感じています。


2008年1月18日 <<前へ  次へ>>