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41.コーヒー産地のクリスチャン

今まで、ここコーヒー産地の人たちはクリスマスなど
全く関係のない生活をしていると思っていましたが、
先日海外からきたお客様を近くの少数民族の村にご案内しているときに、
教会があるのを見かけました。

そこはリス族の村で、この民族の多くはキリスト教を信仰しています。
そして、アルファベットをひっくり返したような
彼ら独自の文字を使用した聖書を使用し、
これまた彼ら独自の言葉で美しい賛美歌を歌います。
各家庭にはこの聖書と十字架の描かれたカレンダーがあり、
食事の前には黙祷して神にお祈りを捧げています。

なぜこんな山奥の少数民族がキリスト教を信仰しているのか?
ベトナムを統治していたフランスが、
雲南にも強い影響力を持っていた時の名残だという話を聞きました。
そういえば、100年前に雲南にコーヒーを最初に植えたのは
フランス人宣教師だったという記録があるので、
コーヒーの栽培とキリスト教の布教活動は大きな関係があったのでしょう。
しかし中国人がコーヒーを好まなかったのは、宣教師も想定外だったかもしれません。
(何故リス族が熱心にキリスト教を信仰したのかは不明です。)

リス族は産地の少数民族のなかでも決して豊かな民族ではありません。
多くは山奥のさらに高山地域での暮らしを余儀なくされていますが、
一部の人たちは、資源採掘等により逆に山を追われ、
政府が無償で提供した住居や農地を使って生活しています。

山から下りてきたリス族は、周辺の漢族とほとんど変わらない生活をしており、
母屋や衣服・食事など、彼ら独特の文化も、すでにほぼ漢化(漢民族化)しています。

今では、他民族では全く分からないリス語と、
その言葉で執り行われる日々の礼拝が、
唯一彼らのアイデンティティを保っているもののように思えます。

リス族の村の組長に、彼らの民族文化の尊さを話してみましたが、
壁に向かって話しているような虚しさを感じました。
豊かな暮らしができれば何でも構わない、
というのが彼らの率直な望みなのかもしれませんね。


2007年12月21日 <<前へ  次へ>>