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11.幻の雲南コーヒーって何ですか?

中国のコーヒー生産は史料によると
1884年に台湾でコーヒーの栽培に成功したのが初めてのようです。

大陸では1902年にフランス人宣教師が
雲南省にコーヒーを植えたのが最初といわれ、
その時に持ち込まれたのが
アラビカ種の原種に最も近い
ティピカ種とブルボン種でした。
各地に拡散していった後、
途中衰退の危機もあったようですが、
政府の後押しや大手企業の進出もあり、
多産型の改良品種(カチモール種)を中心に省内に産地が広がっていきました。

現在、ティピカ種とブルボン種は雲南の一部の地域にわずかに残っているだけで、
幻の雲南コーヒーとなりつつあります。

これらの品種は病虫害に弱い、植えてから結実までの期間が長い(4〜5年)、
基本的に隔年収穫で結実量が少なめ、樹高が高いため収穫に不便、
等々のデメリットがあり、
産地農民は手間のかからない多産型の改良品種のコーヒーを好んで植えています。
さらに道路工事等で産地の山が切り崩されたりもし、
今や100%ティピカ種やブルボン種のコーヒー農場はどんどん少なくなり、
このままいけば数年後には本当に
雲南のティピカ・ブルボン種は絶滅する可能性があります。

かつてスリランカ(当時セイロン島)に植えられていたティピカコーヒーは
1869年に病害で全滅したため、お茶の産地として復興したのは良く知られた話です。
コロンビアもかつてはティピカ種の産地でしたが、
今では生産性の高い品種が大半を占めるようになる等、
世界的にも希少な品種となってきています。
日本で人気のあるブルーマウンテンやハワイコナ等もこのティピカ種と言われていますが、
その全てがこの希少品種なのかは何とも言えないところです。

しかし近年、世界の産地でこの手間のかかる品種を
あえて植え始めるところもでてきました。
産地によって同じティピカ種でも性質は多少異なるでしょうが、
それでも素晴らしい風味を持つことに変わりはないからでしょう。

そして今僕たちもこの雲南コーヒーの起源である
ティピカ種のコーヒーを守り育てていくべく、
100%ティピカコーヒー農場の開拓を始めたところです。


2007年5月25日 <<前へ  次へ>>