第483回
謝罪を求めたい!
トラブルの相談の際に、
何とかして相手に謝らせたいという要望があります。
しかし、謝罪をさせる権利は、法律上、
名誉毀損をされた場合や著作権を侵害された場合に
謝罪広告を出させることが認められるくらいで、
他の場合に謝罪をさせる権利は認められません。
この名誉毀損をされた場合や著作権を侵害された場合でも、
謝罪広告を求めれば
必ず認められるかというとそうでもありません。
したがって、裁判で、相手方に謝罪をさせるということは、
極めて難しいこととなります。
そこで、裁判では、謝罪を求めるという形ではなく、
相手が、わざとあるいは不注意によって損害を与えたことを理由に
損害賠償請求するか(このケースを「不法行為」と言います)、
約束や契約に違反して発生した損害を賠償しろと請求するか
(このケースを「債務不履行」と言います)という形で、
お金を払えという形で、お金の支払を求めることが多いです。
ただし、精神的苦痛を被ったという理由で慰謝料を請求するにも、
必ずしも慰謝料請求が認められるわけでもないということは、
第467回でお話したとおりです。
裁判では、よく和解で解決することが多いのですが、
この和解では、一方当事者の非を、明確にせずに、
金銭も解決金や和解金の名目で支払わせることが多いです。
それは、どちらに非があるかは曖昧にして、
単に、紛争を解決するために、
一方が他方にお金を払うという方が、
払う方も納得しやすいということがあるからです。
それくらい、紛争において、
謝罪させるとか非を認めさせるというのは難しいことです。
そういう中で、
たまに謝罪文を取ることができるケースがあります。
それは、裁判で勝訴の見込みが高く、
多額の金銭をこちらが取れる見込みが高いけれども、
謝罪したら、減額したり、免除したりするという場合です。
そういうケースでは、謝罪するのは、
ただだからということで、
相手が謝罪したり、謝罪文を出したりすることが、
例外的にあります。 |