弁護士・高島秀行さんが紹介する
事前に備える賢い法律利用方法

第467
慰謝料は何でも取れるわけではない

みなさんからの相談の中でよくあるのが、
揉め事が起きたことについて
慰謝料を請求できないかという質問です。

例えば、お金を貸して、相手が返してくれないので、
お金を返せという請求と合わせて、
お金を返してもらえないことによって
精神的苦痛を受けたことに対する慰謝料を請求できないか
というものです。

しかし、約束どおりお金を返さないことについて、
請求できるのは、遅延損害金だけです。

お金を貸すときに、遅延損害金については、
契約書で何も定めなくても、
法律上、個人間では、
年5%の遅延損害金を付けることになっていますので、
年5%の割合で遅延損害金を請求することができます。

個人が個人に100万円貸して、返済期限から1年経過していれば、
5万円を遅延損害金として請求できるということになります。
しかし、それ以上は請求できません。

一般的に契約違反や約束違反の場合
(こういう場合を「債務不履行」と言います)には、
その契約や約束を守れという請求ができるだけで、
慰謝料を請求することはできません。

では慰謝料を請求できる場合はどのような場合かというと、
契約関係などがない状態で、
一方的に損害を受けたような場合です。
(こういう場合を「不法行為」と言います)

例えば、殴られて怪我をさせられたり、
交通事故で怪我をさせられたりしたケースがこれにあたり、
怪我が治るまでの精神的苦痛や
後遺症についての精神的苦痛について、
慰謝料を請求することができます。


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2009年6月23日(火)

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