第482回
長男に跡を継がせたいなら
前回、相続が揉める原因の1つに、
長男など子供の1人を優遇することを挙げました。
別に、僕は、子供の1人を優遇することが
悪いと言っているわけではありません。
実際、長男を跡継ぎとして、
家や事業を守って行ってもらう必要があるケースもあります。
そのようなときはどうするか、と言うと、
遺言書を書く必要があります。
遺言がなければ法定相続分により相続することとなりますから、
子供が平等に相続することになります。
しかし、遺言を書くと、
各子供が平等に相続しなくてもよいこととなります。
前回の自宅の土地建物8000万円、
金融資産が8000万円というケースで、
遺言により、自宅の土地建物を長男に相続させ、
金融資産を長男と妹に
4000万円ずつ相続させるということも可能となります。
前回、生前に長男が事業を失敗したときに
3000万円を贈与して支払ってあげたケースについて書きました。
この3000万円の贈与を法律上「特別受益」と言います。
この特別受益は、相続が発生したときに、
合わせて相続分を考えるということになりますが、
遺言により、この特別受益を相続の際に考慮しなくてもよい
と書くこともできます。
この特別受益を相続の際に考慮しなくてよいとすることを
「持ち戻しの免除」と言います。
持ち戻しの免除は、遺言でなくてもできますが、
相続については全て遺言書に書いておいた方が
残された相続人にわかりやすいです。
ただし、遺言で何でも定められると言っても、
「全ての遺産を特定の相続人に相続させる」
という遺言を書いてしまうと、
他の相続人に少なくとも遺産の一部を相続する権利があるので、
この権利を巡って争いが発生してしまいます。
この他の相続人が最低限遺産の一部を相続する権利を
「遺留分」と言います。
特定の相続人を優遇する遺言を書くときには、
この遺留分をどうするかということを
考慮して書く必要があります。 |