第104回
人財をつくる その9
45日前 最終テスト キャラメルカプチーノ 連続5杯!!
店長の佐々木さんは
松井さんの気持全てを理解してました。
松井さんの行動がうまくいかないのは
心が開放されていないからだと云う事をです。
佐々木さんは松井さんに云いました。
「松井さん、ノートをしまって下さい。
私共の使っているマニュアルを全て差上げます。
だからメモを取る必要はありません。
アルバイトの上野君が1からコーチします。
分らなかったら、質問はその都度すぐして下さい。
そして、肩の力を抜いて下さい」
佐々木さんの言葉に
松井さんの固かった表情がくずれ、笑顔が出ました。
「よろしくお願いします。新人の松井です。
上野さんお世話になります」
松井正彦、これでなくてはなりません。
その日を境に松井さんの行動は
「考働」になりました。
調理マニュアルは1枚1枚確実に
頭の内にコピーされていきました。
現場でメモを取らなくとも、
家に帰って奥様に口述で報告が出来るようになり、
松井さんの店の基準づくりと
マニュアルは出来上がって行きます。
芝さんはそれを見てびっくりしました。
態度が変わる、行動が変わる、結果が変わる、人が変わる。
人が成長していくプロセスです。
今の松井さんがまさしくそのお手本です。
びっくりした芝さんでしたが
その裏で確かな手ごたえを得ました。
「松井さんの店は成功する」
またたく間に2週間が過ぎました。
松井さんのトレーニングの第1段階のテストは、
半自動エスプレッソマシンを用いて
キャラメルカプチーノ連続5回の調理です。
1人前を連続2回、
2人前を1回続けて、1人前を1回
最後は2人前を1回連続して調理して
その量、泡立ち、フォーム(泡立てた)したミルクの量、
出来上がりが一定化しなければ合格になりません。
しかもトッピングするキャラメルフレーバーの飾り方も
一定できれいでなければなりません。
「満点商品」が要求されます。
『会社がつぶれる原因の1つは
満点商品を目指す理念と厳しいルールがゆるんだからだ』
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