第1046回
青年たちは“新しい体験”に賭けました
私の勉強会に参加してくださり、
その後も交流を重ね、
親しくしていた二人の青年が上海に行って
日本語の先生になると知らされたのは
採用が決まった後のことで
私はそれまで、
彼らが募集に応じていることさえ
知りませんでした。
私は、邱さんの文章を読んで
中国の経済はこれから発展する。
その発展の波に乗れば
楽しい経験ができるぞと考え、
わりと早い時期から、
乏しいながらも自分の財布のお金を
中国に投じてきた人間の一人だと思っています。
私が邱さんのアドバイスに耳を傾け
中国に向けて、お金を投じたころから
日本の会社も中国に工場を移すようになり
しばらくしてから個人が
中国企業の株を買う動きも
だんだん盛んになってきました。
ですから、そうした動きに沿って
日本から中国に向かって
お金や人の流れが活発に流れていくことは
十分に予測できました。
しかし、そうした流れの背後には
日本で得られる給料と
中国で得られる給料に大きな格差があるわけで、
日本の組織のなかで高い給料を得ている人が
自分の判断で、中国社会の中に
飛び込んで行くようになるとは、
考えることはできませんでした。
ところが、私の若い友人たちは
そんな私の観念を飛び越えて
中国移住の道を選択したのです。
そのことを伝えられたときは驚きました。
驚きましたが、飛び越えられたことに
快感を感じました。
彼らは躍動する中国での
“新しい体験”に賭けたのでしょう。
そうした未来にかける生き方を
優先させた人生態度に接し、
なんと逞しい精神の持ち主であることかと、
すっかり感心しました。
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