第979回
中国人は物を売ることに熱心です
北京の名所、天安門と故宮をざっと見て、
昼の時間になりました。
ガイドさんの説明は
ユーモアがあって面白いので、
引き続いて、このガイドさんに
天壇公園や瑠璃廠に案内していただくことにして、
さしあたり昼食をどこでとるか
という相談になりました。
候補の一つとして
“しゃぶしゃぶ”の店
東来順 (ドンライシュン)の名があがりました。
ここは以前、
邱さんが率いる投資考察団でも
利用されたことがある店だと、
友人から聞いていましたので、
その店に決定し、
ガイドさんや運転手さんにも
一緒に入ってもらって
皆で昼食を楽しみました。
やっぱりおいしく、皆、うまい、おいしいと
お箸を激しく動かして食べました。
ああ、これでおなか一杯、
お茶でもいただいて店を出るかといったときに、
それまで、かいがいしく、
“しゃぶしゃぶ”の差配をしていた女性が、
“しゃぶしゃぶ”用の調理器具を持ち出して、
「さあ皆さん、お買いになりませんか」と
たちまちセールス・ウーマンに変じたので、
これには皆あっけにとられました。
誰も買わないと見るや、
今度は貴金属のようなものを前にならべ、
これも誰も買わないと見るや、
また別のものを、前にだし、
セールス・ウーマンの口上はとまりません。
皆、黙って“一人芝居”を見せられるような
かたちになりました。
邱さんは『中国人と日本人』で
「日本人は職人、中国人は商人」、
日本人はものをつくるのが得意、
一方、中国人はものを売り込むのが得意と
両者の特徴を指摘されていましたが、
「中国人は商人」の一端を
かいま見た思いがしました。
これに似た光景を、このあとにも見、
「中国の人は人が集まれば、
売り込みのチャンスとばかり
盛んに物を売り込んでくるなあ」
と感じました。
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