第973回
京劇見物が北京の夜の楽しみの一つです
北京語言大学の学内食堂で
食事をいただいているとき、
私の義理の兄がその場にいて、
「せっかく北京に来ているのだから、
京劇を見に行きましょう」と
皆に話しかけました。
私は北京に来る前、邱さんも
しばしばご覧になっておられるようなので、
京劇を見ることができたらいいなあ
とは思っていました。
が、自分から進んで見たいとは
思っていませんでしたので、
お連れが「行こうじゃないか」と言い出してくれ、
これは好都合と相乗りすることにしました。
一旦、三全公寓に戻り、
京劇鑑賞の予約をとっていただき、
タクシーも手配していただきました。
タクシーに分乗し、周りを見ると、
昼間見たのとはまた違う、
格段に立派な建物が建ち並びます。
鮮やかなネオンが点滅し、
「外国からお見えになった皆様、
ようこそ北京にいらっしゃいました」
と呼びかけてくれているように見えます。
「ここは中国のメイン道路ではないだろうか」
と思う道を通って、着いた先は、
これまた立派なビルの前でした。
あとで知ったことですが、
天安門の近くの建国門という場所にある
「北京京劇院」という劇場のあるビルでした。
切符を買って、劇場の中に入ると、
木製の机と椅子が並べられ、
椅子に座るなり、劇場の係りの男女が
お茶と月餅を運んでくれました。
私たちがお茶をいただいていると、
ドイツからとおぼしき
旅行団体の一行がどっと入ってきました。
こういう光景を見て、
ここが北京を代表する
京劇の劇場であるらしいことに
確信を持ちました。
夜の7時30分きっかりに幕が開きました。
お芝居が演じられるステージの右と左に、
台詞が中国語と英語で映し出され、
台詞にも目を配りながら
お芝居に見入ることになりました。
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