第943回
「時流にあった商売を探すことだ」
邱さんにどんな商売を探すのがいいですか
とうかがえば、
「お客の方から買いに来てくれるような商売」
とおっしゃると思います。
そして
「お客の方から買いにきてくれる商売というのは
どういうものですか」
とうかがえば、
「時流に乗った商売です」
という返事がかえってくると思います。
考えてみれば、私が考えた事業は
邱さんが現代日本の社会に流れている
潮流として描いてくださった
『老齢化の流れ』に乗ろうと考えて
世に送ったものですから、
「時流にあった事業」だったといって
いい様に思います。
ところで、邱さんは新しい事業を
ものにする目のつけどころについて述べた
『四十歳からでは遅すぎる』
(原題は『企業家誕生』)で
次のように述べておられます。
「うまく時流に合っているかどうかを、
どこで判断するかというと、
時流に合わない仕事は、
こちらからいくら熱心に売り込みに行っても
さっぱり手応えのない仕事であり、
時流に合った仕事とは、
こちらからちょっと働きかけただけで
向こうから買いに来てくれる仕事だと思えばよい。
(中略)
自分のお客がどこにいるかもわからず、
誰を相手に商売にしているのか見当もつかず、
ただ店開きをすれば何とかなるだろうくらいに考えて
仕事をはじめる人は
たちまちあてがはずれてしまう。
自分のお客がどんな種類の人であるかも読めず、
いくら客集めに駆けまわっても反応がなく、
お客の手応えのない商売は、
時流に合わない商売と思えば間違いない。
世の中は、その時代時代によって、
時流に合った商売と、
時流に合わない商売があるものである」
(『四十歳からでは遅すぎる』)
新しい仕事を創り出すときの
重要なキーワードのひとつは
「時流に合った商売」なんですね。
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