第939回
顧客の願望を満たすサービスという視点が重要です
私が新規事業を考える立場にたち、
ひとつの試みが失敗し、頭を抱えているとき
前回紹介した、邱さんの
「年をとったらデパートの隣のマンションに住もう」
という文章が、頭に浮かんできました。
この文章は、
「年をとっても、賑わいのある場所に住みたい」
という人間の心の奥底にある
強い願望を表していると思っていましたが、
この文章を思い出すことで、
私の頭の中に
一つの新しい事業プランがわいてきました。
たまたま、当時勤めていた
八幡製鉄所の付属病院の後ろに、
管理職用の社宅の跡地があり、
そこは、八幡の街では、比較的、
人や車が通る道に面していました。
当地としては
“賑わい”の感じられる場所にあります。
ここに、お年寄り向けのマンションを建てて
健康管理のためのケアもするようにすれば、
入居してくれる人がいるのではないか
という考えが浮かんできたのです。
実は、このプラン自身は、
私が赴任する前から立てられていました。
ただ、それを現実化するには
数十億単位のお金がかかり、
それだけのお金をかけて施設をつくっても、
果たして入居してみようという人がいるのか
なんの確証もないので、
実際には手がつけられずに
放置されていました。
たまたま、私は「老齢化の流れ」に
目をつけたものの最初の試みに失敗し、
ユーザーにとって魅力のあるプランでないと、
相手にしてもらえないことを
痛感するようになっていまして、
そうした私の目から見ると、このプランは、
お客になってくれる人には喜んでもらえる、
有望な事業プランに見えてきたのです。
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