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第896回
蓮花山公園の頂上から深センの街が一望できます
私たちの深セン訪問は
なんの準備もしない、
あてずっぽうのものでしたが、
私には一つだけ実現しようと思っていたことがあります。
前に邱さんが
深センのことを書いていた文章を読んで、
深センには
「街全体を見下ろせる丘」のようなところがある
という印象を受けていて、
そこに昇って、街全体を見たいと思っていたのです。
また大阪から参加してくれた方が、
帰りは電車でなく、蛇口に出て、
そこから船で香港に帰るコースをとりたいと
提案をしてくださり、
変化があっていいねということで、
全員すぐに同意しました。
そこで、食事に付き合ってくれた女性に
タクシーを２台確保していただき、
２人の運転手さんに私たちの意向を
伝えて欲しいとお願いしました。
さっそく彼女はタクシーを手配してくれ、
私たちは２台のタクシーに分乗して、
ある公園の小さな入り口に着きました。
その公園に入って、
前方に進むと緩やかな坂があり、
道路標示に従って石段の坂を上りました。
けっこう急な坂で、息せききっての昇りでしたが、
なんとか頂上にたどりつきました。
そこには、元気よく駆け出すようなスタイルの
鄧小平の銅像がありました。
あとで調べてわかったことですが、
私たちが訪れたのは蓮花山公園で、
鄧小平の銅像は2000年に
建てられたようです。
なんでも、鄧小平は香港が返還されるとき、
香港を訪れることを望みながら、
果たせないまま亡くなるのですが、
夢を果たせなかった香港がある南の方向を
向いているのだそうです。
この丘からは
大きく拡がる深センの街が一望できます。
いまから、14年前の平成３年、
邱さんが、この深センを訪ねて
本拠を東京から香港に移されたと伺っていますが、
邱さんの決意が
少しは理解できたように思いました。
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