第892回
「お金はこちらの方に動かした方がいいみたい」
深センを訪れた話の続きです。
1月8日の朝、仲間と7人で、
香港から電車に乗って羅湖駅に着きました。
そしていくつかの手続きを受け
深セン市に入りました。
まずは「深セン博物館」を
訪ねることが目的です。
そこで市の観光局の
出先のようなところにはいって、
中国人の女性に
「深セン博物館」行きのバスの番号を教えてもらい、
バスターミナルに向かいました。
教えられるまま、階段を昇って、
大きな建物を右に見ながら歩きますと、
中国人の青年が寄ってきて、
「時計安いよ、要る要らない?」
としつこく迫ってきます。
振り払うようにして、
歩き続けると、
前方に巨大なデパートのような建物が
目に入ってきました。
日本ではおよそ、
お目にかかることができないスケールのもので、
ビックリしました。
そしてたくさんの人が
ごった返す賑わいも作用してのことでしょう。
「お金はもっとこっちに
動かした方がいいみたいだな」
という考えが頭のなかに浮かんできました。
少し先に行くと、階下に
バスステーションが見えてきます。
だだっ広く、埃っぽい感じの広場に
たくさんのバスが出たり、入ったりしています。
一瞬、このごった返すような賑わいは
かつての日本にもあったと思いました。
と同時に、これほどのスケールのものは
なかったと思いました。
十数年前のことですが、邱さんが
「いま中国はうなりをあげて
改革開放への道を突っ走っている」
とおっしゃっていた言葉を思い出しました。
昔、邱さんがおっしゃった言葉の雰囲気が
この街には漂っていると感じたのです。
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