第836回
「株の原則を守れば、損することはありません」
『邱永漢の株入門』が発刊されてから
5年ばかりたった昭和63年に、
邱さんは『株が本命』を書かれました。
この作品はバブルさなかの頃に出版されたわけですが、
それから6年ばかりたち、バブルの崩壊が
だれの目にも明らかになった平成6年に、
邱さんは“邱永漢ベストシリーズ”の一冊として
この作品を再版し、まえがきで、
次のように書きました。
「『不動産が一番』という本を書いて
ベスト・セラーズになったあと、
今度は『株が本命』という本を出して、
これまたベスト・セラーズになった。(中略)
二冊ともよく売れたが、
『不動産が一番』が主として東京や大阪などの
都市部で売れたのにたいして、
『株が本命』は地方の小都市でも万遍なく売れた。
ということは大金持ちは
大都市周辺にしかいないが、
小金持ちは全国に細かく分布しているということである。
大都市の土地は、工業化と
人口の都市集中によって暴騰をくりかえし。
そのおかげで土地成金を無数に誕生させた。
このことは本当に大金持ちになりたかったら、
大都会に行かなければならないことを
私たちに教えてくれる。
それにくらべると、
株式投資は誰にでも手の届く
財産づくりの早道であり、
スリルをともなうバクチの場でもある。
しかし、今日のように不動産と株が
財産の主力ということになると
大半の人々が株を財産の一部として持つことが
珍しくなくなり、
それを長期にわたって持続するための
知識と心構えが必要になってくる。
株の本をこれまでにもたくさん書き、
そのたびにベスト・セラーズの仲間入りをしてきたが、
この『株が本命』は
その総決算ともいうべきものであろう。
本書で取り上げた原則を
忠実に守ることができたら、
株で儲けることはあっても、
損することは先ずないと思う」
(『株が本命』邱永漢ベストシリーズ版 平成6年)
|