第837回
「素朴で基本的なものが生きつづけます」
『邱永漢の株入門』が出版され、
その後『株が本命』が出版されるのですが
前者の本が出版されてから
17年ばかりたった平成8年、
リニューアル版として
『株の原則』が発刊されました。
その後、文庫版が出版され、
邱さんの株についての考え方を伝えるものとして
多くの人に読まれているように思います。
そのプロローグのなかで、邱さんは
はじめて『株』について書いたのが
『婦人公論』の誌上で、書き始めてから、
株式ブームという時代になっていったことにふれ、
次のように書いています。
「なぜこんな昔話から始めたかといいますと、
この本(『株の原則』)で言いたいことが、
まさにこの時代の、とくにこの時代の、
とくにこのご婦人たちのような
初心者に話した『株』の基礎の基礎、
『原則』といわれるものと、
少しも変わっていないからです。
この本は『株』のベテランから見れば
バカのようにしか見えない、
素朴な疑問ばかりが並んでいます。
ところが、この初心者向けの疑問への答えが、
じつは『初心忘るべからず』の格言どおり、
『株』の大原則につながるものばかりなのです。
素朴で基本的なものが生きつづけるのはむしろ
当然のことでしょう。
ほかの経済問題と同様『株』に関しても、
まったく先が読めないといわれる時代だけに、
30年以上もまえから私が守ってきた『株の原則』が
何らかのお役に立つのではないかと思うのです。」
(『株の原則』)
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