第771回
「夫婦がお互いに譲り合う態度が求められます」
邱さんはあるときから、
作品のなかで
『女はそれをガマンしなくなった』
という表現を使われるようになりました。
何のことだろうかと思っていると、
女性は結婚して妻という立場にたてば、
たとえ夫が気にいらない人であっても
死ぬまで連れ添っていくべきと
されてきたけれども、
最近は、気に入らない夫に対して
それを運命とあきらめ、
離婚を避けるということはなくなった
という意味でした。
さて、離婚が増えていく時代傾向の中で
夫婦が穏やかな関係を持続する秘法として
邱さんは次のような知恵を紹介しています。
「私は時々、結婚式の披露宴に招待されて
テーブル・スピーチを求められるが、
最近の離婚の風潮が頭にあるので、
ありきたりのお祝いを述べるだけでは、
自分の気持ちがおさまらない。
多くの人々から祝福されて
人生の門出をする二人が、
はたしていつまで続くのか
誰にも見当がつかないし、
教訓めいた祝辞を述べている先輩や識者だって、
いつどこで離婚の嵐に見舞われるか
わかったものではない。
それを防ぐためには、多分、
お互いに寛大な気持ちで
譲り合うことが大切だと思うが、
経済生活の面をやや誇張していえば、
まず生活費をギリギリに詰めることから、
せめて一割二割余裕を持たせるところまで
引き上げることが先決であろう。」
(『女の財布』)
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