第770回
寿命が延びてきたことが離婚急増の原因の一つ
邱さんは今から20年ばかりまえの昭和57年頃、
離婚がふえつつある動きをとらえ、
今後これが時代の流れの一つになると
離婚が時代のブームになることを予測しましたが、
邱さんはどうして離婚がふえると予測したのでしょうか。
『女の財布』で
次のように分析しています。
「離婚の風潮は、
アメリカでまず猩獗(しょうけつ)をきわめ、
今や全世界に飛び火する勢いを見せているが、
このことは『一夫一婦制』や
いわゆる『偕老同穴』の微風が
もはや現代の環境にあわなくなりつつある
何よりの証拠であろう。
その原因として考えられることは
まず第1に平均寿命が延びて、
以前なら子育ての終った段階で
あと残りがいくばくもなかったのが、
まだ20年も30年もあるようになったことである。
残りいくばくもなければ
ガマンのできた人生も、
あと何十年もあるとなれば、
『女はそれをガマンできない』
という心理的な爆発が次々と起こる。
第2に、豊かな社会になって
福祉が行き届き、
女が子供を抱えても
路頭に迷わないですむようになっている。
第3に、就職のチャンスがふえ、
女も男と同じように職場に受け入れられ、
女が一人で生活していくのに困らなくなった。
そして第4に、家族の紐帯よりも、
個人の心の満足を優先させる動機が、
一時的にせよ、解放途上にある主婦たちを
支配するようになったことであろう。」
(『女の財布』)
|