第763回
「夫に代わって財産を運営しましょう」
邱さんは『女の財布』で
女性が金銭感覚を身につけるには、
「お金を扱う立場に我が身を置く」ことだとし、
一つの方法として「仕事をもつこと」
二つの方法として「株をやってみること」を推奨し、
三つ目の方法として
「一家の財産を夫に代わって運営してみること」を
薦めています。
その説明を受ける前に
「一家の財産」とはどういうものなのか、
邱さんに教えていただきましょう。
「私たちの財産は、いろいろあるように見えても、
分類すると、4つか、5つくらいにしか分類できない。
俗に財産三分法という場合の三つの財産は、
一つ目は不動産、二つ目は有価証券、
そして三つ目は現金である。
このほかに、書画骨董のような美術品、
それから宝石や黄金のような貴金属が加わる。
借金が返済できなくなって、
差し押さえをくらう場合の財産には、
家財道具も入れられるが、
工業が発展して豊かな社会になってからは、
カメラも腕時計もキモノも、
財産のうちに入らなくなってしまった。
むしろ著作権とか、特許権とか、
ノレンの方が値打ちのあるものになったが、
そういうものは誰もが持っているものではない。
ごく普通の人にとっては、
美術品、貴金属も加えて5つが
財産の中身であろうが、
最後の二つを除いてしまえば、
不動産、有価証券、現金の三つに大別される。
株がまだそれほど大衆化されていなかった時代、
もしくは個人商店の大半が
まだ法人化してしまわなかった時代には、
有価証券が私たちの財産の中で占める比率は
比較的小さかった。
だから女の人が株に知識を持つ必要は
必ずしもなかったが、
最近では新しく生み出される富の大半は
会社の所有になってしまっている。
値嵩の株は法人の所有になってしまっている。
その法人の所有する財産は法人のものであるが、
リクツの上では株主たちのものということになる。
といって、株主たちの支配権が
会社の財産にまで及ぶわけではないが、
株に値段が立ち、
その値段で株を譲渡することができるから、
株価があがればその分だけ、
株主の財産もふえた勘定にはなる。」
(『女の財産』)
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