第761回
「株は経済社会の『覗き窓』です」
邱さんは物事の本質を短い言葉で
ズバッと表現する名人です。
たとえば、『女の財布』には
「株は経済社会の『覗き窓』である」
という章があります。
この言葉など、一度目にしたら
忘れられない性質の言葉です。
この章で邱さんは、
株にお金を投じることの意味を
どのようにとらえていらっしゃるのでしょうか。
「株を買ったことのない人は、
世の中を静態でとらえがちである。
家もジッとしているし、
人間もジッとしている。
動くのは自動車か、電車くらいだと思っている。
ところが株を持ってみると、
株価も毎日動くが、
どうして株価がそんなに動くかというと、
企業も人もお金も、
すべてのものが波間に漂っている生物や
浮遊物のように動揺して絶え間がないからだ
ということに気づく。
その変動の中にあって
大きく成長する企業もあれば、
だんだん滅びて消えてしまう企業もある。
年をとって退職する人もあれば、
大きな夢を抱いて社会に出てくる
フレッシュマンたちもいる。
お金というのはそうした無数の動きに応じて動き、
ある所へ集まったり、
ある所から霧散していったりする。
その動きをとらえようとして
懸命になっているのが企業であり、人であるから、
うまくそうした動きを言いあてることができたら、
株で儲かるのである。
そういった意味で、
少しでも株に頭を突っ込むことができたら、
その瞬間から、その人と経済社会との間に
パイプがつながる。
女の人にとってもそれは同じことなのである。」
(『女の財布』)
たぶん、株を買ったことのある人は
うなずきながら、この文章をお読みになるでしょう。
と同時に、株にお金を投じることのなかに含まれている
深い意味を発見することになるのではないでしょうか。
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