第759回
金銭感覚を磨く一つ目の方法は仕事を持つこと
邱さんは『女の財布』で
お金持ちになるための条件の一つとして
「お金の性質をよく知ること」を挙げています。
この条件を着実に、身につけるには
どうしたらいいのでしょう。
邱さんは次のように書いていらっしゃいます。
「経済に強くなろうと思えば、
商売の世界に身をおくのが一番手っ取り早い。
しかし、商売の世界にあまり縁のなかった人々に、
いきなり商売をやれといっても無理だし、
金銭感覚を身につけようといっても無理であろう。
そういう人は一体、どうしたらよいのであろうか。
人間はお金を使う立場に立てば、
いやでも金銭感覚が身についてくるから、
そういう立場に自分をおけばいいのである。
そのアプローチの方法として
おおよそ三つくらいのことが考えられる。
まず第一は女の人が仕事にでることである。」
そして、邱さんは女性の仕事の領域を
次のように展望しています。
「もともと女性は、宿屋の女中さんとか、
料理屋の仲居さんからはじまって、
飛行機のスチュワーデスに至るまで、
サービス業向きと思われるが、
その上、生産事業界に自動化の革命が起こって
人減らしが更に進行すると、
工場で働く人数は激減の一途をたどるから、
女性の働く分野は、
セールスとサービス業界に
いっそう集中するようになる。
その場合、物を売れば、物に対する知識、
サービスを売れば、
サービスに対する知識がそれだけふえるし、
コスト意識、ソロバン勘定も
しぜんに頭にはいってくる。
とりわけ女性が一つの部門を担当させられるとか、
一つの店の経営を任せられるとか、
お金の出し入れを受け持たされるとか、
ということになると、
その分だけ金銭感覚が磨かれるようになり、
家にいて家計簿をつけているのに比べて、
世間はうんと広くなる。
まず働きに出ることによって、
新しい道がひらかれていくのである。」
(『女の財布』)
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