第744回
家族会社は経済観念の養成に役立ちます
邱さんは『妻の財産づくり』で
「家族会社」のことをとりあげましたが、
邱作品のなかで
「家族会社」の話が最初に出てくるのは、
私が調べたところによれば
昭和44年に発刊された
「事業家資産家のための節税の実際」で、
この著作の中には、
「家族会社をつくろう」
という章が設けられています。
この「節税の実際」が58年に
Qブックスの一冊として発刊され、
私などはこの本を読んだことで、
家族会社設立の知恵を
教えていただきました。
邱さんによれば、
奥さんの名義でマンションを買い、
人に貸していたところ、
「資産所得についての夫婦間の合算課税」
という税法の規定を適用され、
奥さん名義のマンションからの収入が
邱さん自身の収入と合算されて、
邱さんの収入にかけられる税率で
課税されるということになりました。
それでは、奥さん名義で
マンションを持っておく意味がないので、
そのマンションを邱さんの会社に売却し、
その会社がマンションからの収入を受け取り、
奥さんに対して勤労所得として支払うようにすると、
「資産所得についての夫婦間の合算課税」の適用を
免れることができるという体験から、
「家族会社」のアイデアが生まれたとのことです。
さて、この「資産所得の夫婦間の合算制度」は
その後、どうなったか確かめてみると、
インターネットで調べた程度のことですが、
昭和63年に廃止が決定されたようですね。
もしこの制度が廃止されたとすれば、
「妻の名義」でマンションを持っていても、
夫の所得と合算されて、
課税されることがなくなるのでしょうが、
相続のことなども考えれば個人所有より、
法人所有の形にしていたほうが有利でしょうから、
今後とも一家の不動産は
「家族会社」が所有するようにしていたほうが
いいといえると思います。
また税法を離れて考えて見ても、
「家族会社」をつくってその運営にあたると、
会社経営のイロハを勉強することができるし、
またそれを拠点にして、
新しい行動にでることもできるので、
家族会社をつくっておくことと
利点があるように思うのですか、
いかがでしょうか。
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