| 第736回『妻の財産づくり』は老齢化社会への手引書
 昭和52年、邱さんは『妻の財産づくり』を発刊しました。
 『女の商売成功の法則』を出版してから
 7年たってからのことです。
 この『妻の財産づくり』は昭和59年に、
 Qブックスの一冊として再版されました。
 その版の「まえがき」で邱さんは
 この作品のことを次のように評しています。
 「『妻の財産づくり』は昭和50年から51年にかけて
 大阪で発行されている中小企業経営者向けの雑誌
 『経営者会報』に連載されたものである。
 最近は女性の職場進出が盛んになって、
 主婦の60%以上が何らかの形で仕事を見つけ、
 収入の道を得るようになったから、
 主婦が家庭の中にばかり引っ込んでいる時代に比べたら、
 女性の経済観念はかなり改善されている。
 しかし、それでも家計のやりくりがやっとで、家産に対してちゃんとした対処のできる女性は
 まだ多いとはいえない。
 親から相続したものにせよ、ご主人の代になってからつくったものにせよ、
 一家の財産は残す方も残される方も、
 はたしてうまく運営していけるものかどうか
 心配になる。
 そろそろ世代の交替期が近づくと、男は自分の死んだあと、
 妻や子供が路頭に迷わないですむには
 どうしたらよいかと気がかりだし、
 『自分の方が長生きをする』
 と決めてかかっている奥さんの方も、
 ご主人が死んだあとの用意ができているかというと、
 会社は自分たちのだから、
 ご主人の死んだあとも昔と同じように
 サラリーは届けてもらえると
 信じ込んでいる楽天家が結構たくさんいる。
 ところが、いざご主人に死なれてみると、ご主人の親兄弟や番頭からまで冷たく扱われて、
 こんなはずじゃなかったと
 悔し涙に暮れている例を時々見つける。
 『妻の財産づくり』はご主人の元気なうちに、夫唱婦随であろうと、その逆であろうと、
 やはり二人でよく相談をして、
 万全の策をとっておくことにこしたことはないのである。
 その意味で、『妻の財産づくり』は『家計のやりくり』と『女の経済的独立』の
 中間地帯みたいな部分を扱っており、
 老齢化社会における善後策の一種と
 考えて下さってよいと思う。」
 (Qブックス版『妻の財産づくり』昭和59年)
 とうとう日本も老齢化の動きが顕著になってきました。これから自分がおかれる環境に
 どのように対処したらいいかを考える上で、
 この著作は多くの知恵を提供してくれる参考書です。
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