第713回
「若いときに財テクに関心を持つのはよいことです」
株を買ったり、
不動産を手に入れたりする要領を身につけるには、
本を読むだけでは不十分で
実際に経験することが必要です。
そういう意味で、いま若い世代の人が、
中国の株を買ったり、
売ったりする体験をすることは
いいことだと思います。
そういえば、邱さんの
『シルバー・グレーの金銭学』という本のなかに、
「若いときの財テク道楽が老後を助ける」
という一章があります。
邱さんは万事、若いときに
いろいろなことを経験しておくのがいい
という文脈のなかで、次のように書いています。
「色の道もそうだが、お金の道、
理財の道についても同じことが言える。
学校を出て、すぐ大きな会社に就職し、
定年まで勤め上げた人の中には、
お金を動かすについて自主的な判断をしたことが
一ぺんもないという人が結構多い。
会社の仕事として借金をしたり
工場や支店を増設したり、
あるいは新製品を売り出したり
何億円、何十億円というお金の出入りに
関与したりはしている。
ただし、大半のサラリーマンが仕事で
自分に任された範囲は、
予想以上に狭いものである。
言われたことを忠実に実行できるかどうかで
その能力を評価される立場にある。
だからいざ自分のこととなると、
借金をしたこともないし、
家計のやりくりだって
奥さんに下駄を預けてしまって
自分でやったことがない。
マンションを買ったものか、
家を建てたものか、
といった問題に直面した時も
自分で決められないので、
親兄弟や先輩のところに相談に行ったりしている。
そうした人が、ある日気がついてみたら
もう定年になっていた。
会社の規定によって
2000万円前後の退職金をもらい、
体よく通いなれた職場から追い出されてしまう。
その時、もらった退職金が本人にとって
巨額のお金だと感ずる人もあれば、
眼中にないほど小さなお金というほどではないが、
びっくりするほどのお金でもないと感ずる人もある。
同じサラリーマンをしていて
これだけの違いが出てくるのは、
若い時から財テクに関心があったかどうか、
それを実行に移したかどうかによるものであり、
財テクに関心を持たなかった人は、
当然財産も増えていないから、
退職金が巨額のお金に見える」
(『シルバー・グレーの金銭学』)
邱さんにかかると、
サラリーマンの置かれた状況や心理もお見透しです。
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