第648回
初々しい精神を持ち続けることが大切
邱さんは『死ぬまで現役』で
世の中がどんどん、変わっていくので、
年寄りの武器であった経験は
威力を発揮しなくなっただけでなく、
むしろその人を時代に適合することを妨げる
という趣旨のことを書いています。
たちまち時代遅れにならないようにするには
どうしたらいいのだろうか、
といったことに頭がいきますが
これに対する邱さんの考えが書かれていますので、
一緒に読みましょう。
「それ(注:(時代遅れになること)を避けようと思えば、
経験に頼ることをやめなければならない。
経験に頼るどころか、
『経験が人間を駄目にする』と
自分に言いきかせなければならない。
これは容易ならざることであろう。
若者は何事もはじめてやるから、
何事に対しても経験者ではない。
経験がなくても、新しいことに挑むことはできる。
好奇心を持ち、情熱を持ち、
いくらかの用心深さと、
それをオーバーした冒険心を持って、挑戦をする。
たまたまやろうとしていることが
今までになかったことであり、
やる人も今までにやったことのない人だから
今までとは違った結果が出てくる。
同じことを経験者がやるにしても、
今までになかったことをやるのだから、
経験にばかりこだわって、
臨機応変の対応ができなくなってしまう。
だから、社長がつとまる人でも、
新しい現場がつとまるとは限らないし、
自分にできないことは、
経験者を使うより
未経験者にやらせるほうがよい。
そのほうが成功の確率が高いし、
新鮮な結果も生まれる」
(『死ぬまで現役』平成元年)
邱さんの考え方のひとつに
クロウトの精神より
シロウトの精神が大切だ
というのがありますが、
邱さんは年をとった人間が
若さを保持しようと思えば、
クロウトでなく、初々しい新人のような
精神を持ち続けることが大切ですよと、
おっしゃっているようです。
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