第638回
立石さんの研究心と実行力に邱さんも脱帽
邱さんがある時、
毛生え薬の話を持ち込まれ、
それをご自身でたしかめたという話は
邱さんの交遊録『邱飯店のメニュー』で、
文藝春秋誌の幹部であった
池島信平さんとの交流のひとこまとして
紹介されています。
そのなかには邱さんが
自分で実験したことを
「頭に毛が生えた話」と題して
文藝春秋誌に発表したことが書かれていて、
私などわざわざ図書館まで行って、
昭和40年ごろの文藝春秋を探し出し、
この文章を読んだことがあります。
また邱さんの毛生え薬の話は
『失敗の中にノウハウあり』にも
「毛生え薬で億万長者の夢をみる」
「産毛とともに消えた毛生え薬への情熱」
と題して書かれています。
したがって、この話の詳細は
これらの本にゆずることとして、
いま話題にしたのは、
邱さんがオムロン創業者の立石一真さんに
毛生え薬の話をしたところ、
立石さんがすぐさま自社の社員にその薬を試させ、
その経過を詳しく調べるという
機敏な行動に目を見張っていることです。
邱さんは立石さんの行動について
次のように書いています。
「立石一真さんは、
ご自身のことでもないのに、私の話をきくと、
私を信用してくれたことももちろんだが
ただちに自分の、研究所で人体実験をやって、
そのデータどりまでやったのだから、
研究心の旺盛なことで、
また実行力に富んでいる点で
出色の人ということができよう。」
(「年をとらない法」昭和42年)
さて、邱さんをして、
「年をとっても頭が柔軟な人」と言わしめた
立石一真さんってどんな人だろうと、
関心を持った人も多いことでしょう。
オムロンが「立石一真物語」と題して
立石さんの伝記を発信していることを
付言しておきます。
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