第630回
アイデア通りに動いた人は資産家になりました
邱さんは自分が考えついたアイデアを
惜しげもなく公開してくれます。
だれも真似のできない、
邱さんに固有の芸当というべきものでしょう。
それにしても邱さんは
どうしてこういうことをなさるのでしょう。
『私は77歳で死にたい』という本には、
そうしたご自身の態度について
邱さんが解説されている文章があります。
邱さんの見解をうかがいましょう。
「私は自分が考えついた
お金の儲かりそうなアイデアがあると、
惜しげもなく人に教える。
『どうしてそんなことをやるのですか』と
台湾や香港ではとても不思議がられる。
『本当にお金の儲かる仕事なら、
どうして自分にとっておかないで、
人に教えるのですか?』
と中国の人たちは私に聞き返す。
お金儲けのアイデアを人に伝授するなどという発想は
中国人の間にはない。
だから、中国人の住んでいる地域に行って、
この人は『日本ではお金儲けの神様と呼ばれています』
と言うと居並ぶ人が皆、きょとんとしている。
中国人の社会には、学問や体操の先生はいるけれども、
お金儲けの先生はいないのである。
そんなにうまいのなら、
自分が大金持ちになって、
人に教えているヒマがないはずだからである。
私が『お金儲けの神様』といわれるのも、
もともとは冷やかし半分だし、
どうしてそんなことになったかというと、
『インフレに続いて借金が帳消しになる時があるから、
怖がらずに借金して自分の家を買いなさい』だとか、
『株を買うときはすでに有名な一流株を買うよりも、
将来、横綱になるような成長株を
まだ店頭株の時分に買って
辛抱強くジッと持っていなさい』
とか言ったことが
何十年もたってみるとその通りになって、
その通り実行した人が
資産家になってしまったからである。
そういうことが再三ならず起こってみると、
人はつい信じたい気持ちになるであろう。」
(『77歳で私は死にたい』平成5年)
このお話、次回に続きます。
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