第623回
邱さんに出会うには文章を読むのが一番です
いま出版の世界で活躍している
あるジャーナリストの方が
私のセミナーに出席してくださり、
邱さんの愛読者になるまでの道のりを
次のように伝えてくれました。
「邱先生のお名前そのものは、
いつの頃からか存じ上げていましたが、
先生のお名前をはっきりと
認識するようになったのは、
ある婦人雑誌を発行する出版社に
つとめていた頃のことです。
雑誌にエッセイを連載してくれていた女優さんから、
『原稿の参考にしたいので、
邱永漢さんの娘さんの邱世賓さんの本を探して
送っていただけませんか』
という電話をいただきました。
その女優さんは、わりにはっきりに
好き嫌いをおっしゃる方なんですが、
『邱永漢さん』とおっしゃった時に、
尊敬の気持ちが込められていましたので、
強く印象に残りました。
というのも、当時の私は、邱さんのことを
『財テクのノウハウを専門にしている作家』
くらいにしか思っていませんでした。
ですから、その女優さんが、
尊敬のニュアンスを含ませながら
邱先生の名前を出されたので、
意外な気持ちになり、
強く印象に残ったのです。
もっとも、その時点では、
先生への興味がさらに発展する
ということにはなりませんでした。
ところが、自分が37歳になり、
独立を意識するようになりまして
書店で先生の『商売入門』に目がいき、
同時にそばに並べられていた文庫版の
『お金の貯まる人はここが違う』にも興味がひかれ、
買いました。
この『お金の貯まる人はここが違う』を読むことで
初めて邱先生に出会うことができた
という感慨がおこってきました。」
この方の話をうかがうと、
邱さんに出会おうと思えば
邱さんの文章を読むのが
一番の近道だということがわかります。
|