第614回
「株が買い値を下げたらナンピンするのがいい」
私はある時期、
邱さんが株について書いたいくつかの作品を
集中的に読んで勉強したことがあります。
株に関心を持ち、
実際に買ってみたものの
株価が買い値を大きく割るということになり、
頭を抱えてしまい、
一から勉強することの必要性を感じたからです。
その勉強はそのあと、大いに役立ちました。
今回『シルバーグレーの金銭学』を再読するなかで
そのとき勉強させていただいた株とのつきあい方が
わかりやすく書かれている文章に再会できましたので
抜粋させていただきます。
「第一に買った株が
すんなりと値上がりすることはめったにない。
たいていは高値を買って値下がりに遭い、
長い間辛抱させられる。
第二に高値を買って
買値を割るような目に遭わされた場合でも
しばらく辛抱していると、
そのうちにまた元に戻り、
よほどの高値をつかまされたのでない限り、
株で儲かるチャンスは多い。
そういうことが経験を積むことによって
次第にわかってくる。
私たちがある株に注目して、
その株を買おうという気を起こした時、
もちろん、将来見込みがあると思って買うのだが、
その時の買値が安値なのか、高値なのか。
神ならぬ身の知るよしもない。
安いと思って買ったら、
もっと安くなることはいくらでも起こる。
高いからもう少し安くなってからと思っていると、
そのまま上に行ってしまうこともある。
だから、私などは小手調べにまず少し買う。
ところが、買って上に行くと
やっぱり思っていた通りの動きだと心が焦って、
高くなったところをまた買う。
それから下がり始めて買値を割ったりする。
そういう時はナンピンをかけるか、
じっとガマンするかのどちらかである。
一番いいのはナンピンをかけることである。
高値の時も、もっと上がると思ったのだから、
下げるところで買えば、
もっと儲かるじゃないかと
自分に言い聞かせることである。
しかし、そのためには
ナンピンをかけるだけの資金の余裕も
持っていなければならないし、
下げても怖がらないだけの度胸と勇気が要求される。
それでもまた下げたら、
あとは忍の一字でいくよりほかないであろう。」
(『シルバーグレーの金銭学』)
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