第608回
「株は老人の最高のエンターテイメント」

邱さんは『株は魔術師』で
「株価を予想するゲームは知的ゲーム」
と表しましたが、
「知的」と言えば
邱さんが平成３年に発刊した著作に
『デフレに強い知的金銭生活』という作品があります。

この本は『ほんとうの時代』という
「人生の円熟期にさしかかった世代」向けの雑誌に
連載されたもので、
この著作のページをめくると、
つぎのような文章に出会います。

「年寄りは全く人生を楽しむことに
興味がないかというと、
もちろんそんなことはない。
お金をたくさん持っているのはお年寄りの方で、
お年寄りが財布の紐を締めて
お金を一切使わなくなったら、
景気はそれこそ永遠に元へもどらない。（中略）

そうした老人たちにお金を使わせようと思えば、
定期預金の金利を上げて
黙っていても収入が増える道をつけてやるか、
でなければ株が上がるような環境づくりをして
老人たちにキャピタル・ゲインの得られるチャンスを
与えることしかない。

年配者と弱輩では人生の楽しみ方が違う。
若い人は友達と長電話するだけでも楽しいし、
身体を動かすだけのスポーツを見てやっても楽しい。
年配者はお金を使うことに不安が伴うので、
お金を使ってその補いをつけることに
安心と満足感を覚える。
だから同じお金でも
それを動かしてふやすことに多くの楽しみを感じる。

いまの時代ならさしあたり株は
老人たちの頭のスポーツであり、
最高の部類に属する
エンターテイメントと言ってよいだろう。
むろん、株式投資に年齢制限があるわけではないから、
若い世代にも広がりをみせているが
頭脳が呆けないためにも、
また世の中の変化から取り残されないためにも、
老人にうってつけの知的ゲームであることは間違いない。」
（『デフレに強い知的金銭生活』）

年をとっても株とつきあえば、
たえず頭が適当に刺激され、
例えばボケ防止に役立つといった効用がある
ということなのでしょうね。