第590回
邱さんは皆が逃げ出すときに香港に目をつけました
邱さんの足跡をふりかえってみて、
「ウン、やっぱり道は人がつくるものだ」
という感を深くするのは、昭和63年、
今から16年前のことになりますが、
邱さんが日本の友人たちに
香港のマンション投資を薦めたことです。
平成5年に発刊された『バブルの後の物語』に
書かれていることにしたがって
この投資行動の始まりと結果を
紹介させていただきましょう。
いまの香港は中国の特別行政区ですが、
邱さんが香港のマンションへの投資を薦めたころは
英国の統治下にあり、9年後に
中国政府に返還されることになっていました。
香港が共産主義の中国に返還されたら、
活力に満ちた香港も輝きを失い、
ゴースト・タウンになってしまうのではないかと
誰も彼もが、その将来を悲観的に見ていました。
それに対して、邱さんは
「香港が中国大陸に飲み込まれるのではありません。
中国大陸は香港化するんですよ」と
当時の常識に反した見方を提示しました。
なぜ邱さんがそういう考えを持つようになったのでしょう。
きっかけの一つは、邱さんが香港で
マンションの一室を手に入れたことです。
邱さんご夫妻にとって香港は
たくさんの想いがこめられた場所だということでしょう。
邱さんは香港が中国に返還される時期が迫ってくると、
2ヶ月に一ぺんくらいのわりで
香港にでかけるようになり、
奥さんの進言で、
九龍の尖沙咀東(チムチャツイトン)で
30坪ほどのマンションを手に入れました。
実際にマンションを手に入れてみてから、
もしこのマンションを人に貸したら、
どのぐらいの利益を生むのか関心が生まれます。
不動産屋さんに聞くと、
年に12%の利回りがあるとのことで
なぜ、これほどまでに高利で回るのか、
邱さんの探究が始まりました。
その結果、明らかになったことは、
香港からよそに移民する人も多いが、
将来の大陸進出に備えて、
日本、アメリカ、ヨーロッパなどから
進出する法人が多く、その関係で、
香港のマンションの利回りが高いことが
明らかになりました。
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