第566回
「お金は人間の生き方を左右する哲学の最大のテーマ」
最近、『新・メシの食える経済学』の文庫版が
出版されたということを、
知人からのメールで知ったのですが、
これは私にとってはビッグ・ニュースです。
というのも、ある日、出版社の人から
「『メシの食える経済学』の
ニューバージョンを出すことを
邱先生に了承していただきました。
すぐに編集にかかってくれませんか」
と頼まれ、この要請を受け、
力を込めて編集させていただいたのが
『新・メシの食える経済学』なのです。
そして、邱さんのエッセンス本は今までに
たくさん出版されていますが、
単行本だけでなく文庫版も出版されたということは、
きわめて稀な現象です。
このように思い出深い本を
私のセミナーに出席した女性の一人が手にし、
それを一つのきっかけとして
お金にまつわる話を書くという
動きになってきました。
はたして、うまく行くかなあ
と思っていましたら、
2、3日して送られてきた作品は
なかなか面白いものでした。
そして、読みすすむうちに、
邱さんが『だから私は香港に移住した』
と題する作品に書かれていた言葉が
頭に浮かんできました。
この『だから私は香港に移住した』は
邱さんが、平成4年1月、
次はアジアの時代が来る、
その代表は多分、中国大陸になるだろう、
その光景を見やすい場所は香港だと考え、
本拠を東京から香港に居を移したとき
『文藝春秋』誌に発表された作品です。
この作品のなかに、
自分の来し方を振り返るところがあり、
邱さんが小説を書くことをやめ、
お金のことを書くようになったとき
執筆の対象にすることにした「お金」について
次のように書いているのです。
「お金は単なるハウツウではない。
人間の生き方を左右する哲学の
最大のテーマと言っても過言ではない」
この言葉が私の頭に浮かんできたのです。
邱さんがお金の話をどうとらえているかを
見事に示す言葉で、
私の脳裏にも深く刻まれていたんですね。
|