| 第548回“邱作品は国際的な視点から書かれていてとても新鮮”
 ネットオークションを経営している原さんが邱さんが書かれた本の中ではじめて読んだ本が
 ワニ文庫だったということに興味を覚えて
 調べた結果をメールで伝えたことを
 前回ご紹介いたしましたが、
 原さんからは、次のようなお返事をいただきました。
 「いつもお世話になっております。お噂には伺っていましたが、
 戸田さんのような方から
 このような情報量の多いメールを頂いたのは初めてです。
 
 私が読んだ本はおそらく
 『邱永漢サラリーマン出門』だと思います。
 “Qさんライブラリー”も確認しましたが、
 この本のようです。
 邱永漢さんのお名前が
 読めずに「きゅう」と読むことが分かったのは
 10年ぐらいあとだったと思います。
 
 邱永漢さんが本を読んだときに
 自分は東大に行ったけれども
 植民地の人間だから、
 普通の仕事には就けないと書かれていたこと
 とても印象に残っています。
  どうも日本人の本ばかり読んでいたので邱永漢さんのように
 国際的な視点から書かれた日本語の本は
 とても新鮮な感じがしました。
 
 この本を読んだ頃、
 カナダに渡航することは決めていたのですが
 カナダには中国人がたくさん住んでいて、
 まさか中国の人たちが中国以外の国に
 華僑として住んでいることなど
 想像もしていませんでした。
 私は『アメリカ、カナダ=白人金髪』
 というイメージを知らず知らずのうちに描いていました。
 最初にニューヨークの地下鉄に乗ったとき
 金髪、白人の女性が一人も同じ車両にいないことに
 驚かさせられました。
 アメリカの女優のファラ・フォーセットみたいな女性が
 たくさんいるのがアメリカだと
 勝手な思い込みをしていた自分が
 今思うとバカみたいです。
 北米のどこの町に行っても
 たくましい華僑の人たちがたくさんいます。
 
 たくましい華僑のビジネスマンに会うたびに
 邱永漢さんのことを思い出していましたが、
 戸田さんとお知りあいになれたことで
 急に邱永漢さんが身近な人に感じてとてもうれしく思います。」
 はじめて読んだ邱さんの本ことを話題にして、原さんと私の会話がはずみます。
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