| 第544回感謝の気持ちを伝えることが交際の第一歩
 昨年の暮のことですが、アイ・オークションネットという
 オークションサイトを経営されている原さんが
 私の人生設計セミナーに出席しますと
 いってくださいました。
 原さんと私は、古書検索サイト“紫式部”のコラム欄の執筆者仲間で、
 私は“邱永漢作品は知恵の宝庫です”と題して、
 自分がはじめて邱さんの文章に
 接したころのことについて書きました。
 私がはじめて読んだ邱さんの文章はとても短かいものでしたが
 当時、自分が抱えていた問題についての処方箋が
 具体的に書かれていて、ビックリ仰天し、
 以来、私は邱さんの文章を求めて
 読むようになったのですが、
 そういうことを凝縮して書いたのです。
 原さんは私のこのエッセイを読んでくださったようで、「戸田さんがはじめて邱さんの文章をお読みになったとき、
 邱さんのどういうところに触発されたのですか?」
 と興味深げに聞いてくださいました。
 「『お金を増やそうと思えば、利殖のあれこれを考える前に、これから先、
 時代はどういう方向ですすむのかを考えることが先決だ』
 ということが書かれていたんですよ。
 利殖についての評論といえば、
 紋切り型のものが多いなかで
 ズバリことの本質に切り込んでいく態度に、
 たいそう新鮮な印象を受けたので、
 いっぺんで邱さんを信用するようになりました」
 と答えました。
 そうした会話のあとで原さんが私が開くセミナーに参加します、
 といってくださったのですが、原さんは私に、
 「邱さんって、東大に行っても自分は外国人だから
 普通の仕事には就けないと書いておられましたね」
 とおっしゃいました。
 「どうしてそういうことをご存知ですか」と聞くと、原さんは高校生のころ、
 かかりつけの歯医者さんの待合室に邱さんの本があり、
 それが邱さんの文章とのはじめての出会いで
 たしかワニ文庫の本だったとおっしゃいます。
 ワニ文庫といえば、『子育てはお金の教育から』が思い出されますし、
 また『サラリーマン出門』の文庫版も出ています。
 また『何をたよりに生きようか』の文庫版も出ています。
 こんな風に邱さんの本のことになると、話が止まらなくなってしまうのですが、
 優先させるべきは、
 私のセミナーに出席するといってくださったことに対して
 感謝の気持ちを表すことでしょう。
 家に帰り、すぐ原さんにお礼のメールを
 出すことにしました。
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