第527回
「灰色時間帯の塗り替え作業の準備は40歳から」
邱さんは昭和42年に
『40歳定年制』を提唱し、
昭和60年に発刊した
『貧しからず富に溺れず』で
『40歳定年制』を再提唱しました。
昭和60年の時点では
会社の定年は55歳でしたが、
何よりも、人間の寿命が大きく伸びている時代に、
死ぬまでにかなりの年齢がある時点で
退職を強いるような制度は
時代にマッチしないと考えたからです。
しかし、仮に『40歳定年制』が取り入れられても、
「実際には、『第二の人生』に踏み出せる人は
10人のうち9人は思いとどまることになるであろう」
と、邱さんは予測しています。
そうした予測に立って、
「その結果は、定年後の『灰色時間帯』を
避けて通れなくなるから
『灰色』をせめてもう少し生き生きとした
鮮やかな色に塗りかえる準備をしなければならない。
その準備は、恐らく40歳からはじめなければ
間に合わないなであろう」と、指摘しています。
この言葉は短いですが重要ですね。
この世に一番多いのは、
40歳を過ぎても
サラリーマン生活を続けている人たちで、
私などもそうしたコースを歩んだ人間の一人ですが、
そうした人たちが40歳以降に
その後に取り組まなければならない事柄が
この短い言葉のなかに記述されているからです。
私の場合は定年を迎えたあとに
仕事がなくなるなんて
真っ平だと思っていましたので、
なんとかそういう事態を避けたいと思い、
それまで経験のなかった分野に飛び込んで、
実地体験の場を広げるなど、
いろいろ工夫をしました。
今思えば、こうした努力は、
邱さんがおっしゃる40歳を過ぎてからの
“定年後の『灰色時間帯』の塗り替え作業”に
ほかならなかったようです。
たとえば、自分の専門の分野をきめ
その分野に関しての知識を最新のものにし、
人に教えられるようにするといったことも
塗り替え作業の一つかもしれません。
人それぞれの立場や流儀で、
その人なりの塗り替え作業が
あるのではないでしょうか。
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