第525回
『40歳定年制』提唱の意味をたずねましょう
サラリーマン生活には、
「定年」が待ち受けています。
「定年」が来たら職場とサヨナラしなければなりません。
そのあとの準備をしていなかったら、
そのまま仕事のない生活に入っていくことになります。
こうした「定年」のもつ厳しい問題を解決する方策として
邱さんが昭和42年の時点で提示したのが
『40歳定年制』でした。
『40歳定年制』提唱の弁を聞きましょう。
「私は昭和42年にサンケイ新聞に
『年をとらない法』
(後に『人生後半のための経済設計』と改題 日本経済新聞社刊)
を執筆したとき、
思いきって『40歳定年制』というのを提唱した。
社会入りをして成長著しいのはせいぜい40歳までである。
だから40歳までは年功序列給で少しもかまわないが、
40歳を過ぎると、
優秀な人とそうでない人の差がはっきりしてくる。
また本人の側から見ても、
学校を卒業して入社する時は、
西も東もわからないし、
自分の選んだ職業が
はたして自分に向いているのかどうかもわからなかった。
それが5年、10年と歳月を重ね、経験も積み、
浮世の風にもあたってみると、
自分の職業が気に入った職業なのか、
それともやればやるほど
自分に向いていないことがわかって
嫌々ながら定年まで頑張る人もあるが、
40歳で一つの区切りをつけて、
退職金を払うとすれば、
この際、思いきってすすむなり、
方向転換するなり、
第二の人生を改めて考えるチャンスに恵まれる。
『40歳から以後、
男は自分の顔に責任を持たなければならない』
と言われるが、40歳になれば、
自分の器量に対する認識も定まるし、
これからどうすればよいかの判断もつくようになる。
幸いにして、
今までやってきた仕事に生き甲斐を感じるならば、
退職金をもらったあとも、会社と交渉して、
今度は、年功序列給も退職金もない
契約制の社員として働けばよいだろう。」
(『貧しからず富に溺れず』)
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