第524回
「定年後の生き方を教えてくれる人はいない」
邱さんは『貧しからず富に溺れず』で
「サラリーマン生活は、
あとの準備ができていなかったら、
『後味の悪い』商売の一つである。
とくに一番最後が一番悪い。」
と指摘しました。
ところで邱さんは高度成長のさなかに
『40歳定年制』を提唱し、
それから20年ばかりたって出版した
『貧しからず富に溺れず』で
「『40歳定年制』を再提唱する」と書いていますが、
「サラリーマン生活はあとの準備ができていなかったら
『後味の悪い』商売の一つ」
という指摘に続く文章も深い印象を与えます。
その文章を引用させていただきます。
「私がいっそ定年を40歳にして、
40歳からは第二の人生にして
今度は定年のない職業を選んだ方がよいと主張したのも
定年の持っているこうした残酷な面を
回避できたらと思ったからである。」
「だからサラリーマンのように、
まだ働ける間に
クビを切られる仕掛けの中で生きている人は、
クビになったあとも、
そのまま身体がクビについて走り出して、
次の仕事に移ることのできる方法を講じておく必要がある。
私のところに相談にくる人を見ていると、
お金の準備はまあまあだが、
あとの仕事の見込みがたっていない人が意外に多い。
大学を出たての時は、
受け入れてくれる会社がいくらでもあり、
仕事のやり方を教えてくれる先輩もたくさんいるが、
定年後の生き方は教えてくれる人はほとんどいない
と言ってよいだろう。」
この文章をはじめて読んだ時、
「仕事のやり方を教えてくれる先輩はたくさんいても、
定年後の生き方は教えてくれる人はほとんどいない」
というようなことは、
人はあまり口にしないけれど、
心の底で「これは本当かもしれないな」
と思ったことでした。
そして20年近くたって
この邱さんの指摘を読み返すと、
邱さんの指摘はやっぱり本当だったなあ、
という感慨がよぎってきます。
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