第518回
「自分の性にあった職場を探そう」
邱さんは「仕事を面白くするための工夫」の一例として
「人間関係を円滑にするための工夫をする」ことを
あげていますが、
こういうことにあまり価値をおかない人、
あるいは苦手な人がいることも認めています。
「リクツとしてはそうだが、
自分にそれをやれといわれても、
気に食わない人や肌の合わない人に、
お世辞の一つも言えない人も
世の中にはたくさんいる。
それが人間関係をスムーズにする
潤滑油の役割をはたすのだと十分承知していても、
『胡麻をすっている』という意識に耐えられず、
プライドがそれを許さないのである。
ネクラというほど重症ではないんだが、
胡麻をすらないと生きて行けないのなら、
嫌われてもよい、相手にされなくてもよい、
といって、あくまで我を通そうと気張ってみせる。
そういう人は対人関係に工夫をしようとしても
できない人だから、
人を相手にする商売は断念するか、
グループで神輿を担がないと
できないような職業にはつかないか、
どちらにしても、
他人の力を借りなければできないような仕事は
やらないにこしたことはない」
(『貧しからず 富に溺れず』)
さて、そうした人はどうすればいいでしょうか。
邱さんは職場や仕事そのものを変更する手があると
アドバイスしています。
「会社の中で、
面白い職場を見つけることのできない者は、
職場を変えればよいし、
職業そのものが自分の性に合わないことに気づいたら、
職業を変えてしまえばよいのである。
それは『お金が儲かるか』『儲からないか』、
を基準として選ぶべきものでは必ずしもない。
『新しい商売をやる』『独立して自営する』
という目的の場合は、
もちろんソロバンが大切である。
世の中には、時代時代によって
『お金の儲かる商売』とそうでないものの区別がある。
『お金の儲かる商売』とは
(1)人に喜ばれるもの
(2)人の困難を解決してあげるもの
(3)人の不便を片付けてあげるもの
のいずれかに分類できる内容のものが多いが、
何が喜ばれるものか、何が困難であり、不便であるかは
時代によってくるくる変わっていく。
食糧の不足した時代には、
食糧の生産が人々に喜ばれる仕事であったし、
人手が不足した時代には、
代わりに掃除をしてくれたり、
料理をしてくれる職業が人から歓迎される。
だからどの企業も仕事の内容を
次々と変えていかなければならないし、
働く人もいつまでも同じことだけをやっているわけにはいかない。
こういう変化のある時は、
今までの仕事にあきた人、
自分の職業に愛想している人にとっては、
またとない転職の好機といってよいだろう」
(『貧しからず 富に溺れず』)
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