第516回
「仕事を面白くするような工夫をしよう」
私たちが一番多くの時間を費やしているのは仕事でしょう。
その仕事を楽しい気分でやれているかどうかについて、
邱さんは『貧しからず 富に溺れず』の中で
「仕事が面白いか、面白くないかは、
それにかけた時間を短く感じたか、
それとも長く感じたか、
によって測定することができる」と指摘しています。
そのような指摘の根底にあるのは
「『時間』には物理的、客観的な時間というものと
心理的、主観的な時間というものがあり、
物理的に長い時間を生きることより、
それを短く感ずるような、
力のこもった生き方をすることを
素晴らしい人生であると思う」
(『野心家の時間割』要約)
という人生観でしょう。
そうした観点から邱さんは
「仕事を面白くするための工夫を凝らしましょう」
と次のように提言しています。
「時間を短く感じる人生は良い人生であり、
反対に退屈をしたり、
死んだ方がましだと思うような人生は
決して良い人生ではない。
恋をしておれば、時間を短く感ずるが、
恋人にあえない時間は人一倍長く感じられるから、
長かったり、短かったりで、
必ずしも短いとばかりいえない。
好きなマージャンや競馬に夢中になっておれば、
その間に時間があっという間に
すぎてしまうかもしれないが、
終ったあとの刺激のない時間は退屈でしかない。
かといって、人間は四六時中、
恋をしたり、セックスをしたり、
賭け事にうつつを抜かしてばかりいられない。
やはり24時間を通じて、
さらには、一年を通じて、
時間を短く感ずるようなスケジュールを組まなければ、
上手な生き方をしているとはいえないから、
どうしても面白い仕事にありつくか、
同じことだが、
仕事を面白く感ずるような工夫をする以外に
方法はないのである。」
(『貧しからず 富に溺れず』)
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